渋谷への招待





*渋谷への招待*


(えっ…と、今回は意外に普通の曲だねー)
(そうですねー)
(服装もラフだしねー)
(そうですねー)
(しいて言うなら渋谷はtetsuってトコかなー)
(そうですねー)
(おっ、髪切った?)
(いいともー!)
(おいおいグリ江ちゃーん、かけ声違うって)
(あら、ごめんなさい猊下。グリ江元ネタが良く解らなくって)
(ま、いいけどね。…で今回はこの曲に乗せて渋谷の婚約者のすっとこどっこいな数時間をお送りしまーす!)
(グリ江も出るわよんvV)







暴走への疑惑
(何ッ?ユーリが到着しただと!?)
(はい!ギュンター様が先程…)
(くそっ!ギュンターめっ!)

渋滞にて最悪
(おいッ!何故こんなに廊下が混雑しているんだッ!)

抑えてる状態
(ヴォルフラム閣下!申し訳ございませんギュンター様の汁が…)
(とにかく通せッ!)

渋谷への招待
(ユーリが待っているんだぁッ!)


時すでに遅く
(ギュンター!居るかッ?)

中指は早く
(ギュンターは居ないッ!)
(あ、兄上…指が…)

不機嫌な表情
(あいつはまた執務をほったらかしてブツブツ…)

手に負えない症状
(じ、じゃあぼくもおいとまします…)
(ブツブツ…)


急いで 城の廊下を駆け回る
(くそ!ユーリは一体何処にいるんだッ?)

どこへ行くかは勝手だけれど
(あらヴォルフラム…丁度いい所に)
(ア、アニシナ!ぼくは今急ぎの用が…)

邪魔だけはしないでくれる?
(貴方でもいいのでちょっと実験につき合いなさい!)
(待てッ!来るな触るな引きずるなーッ!)


悲しいほど 言葉 伝わらない
(やめろと言ってるだろーがーッ!)
(今回の実験は魔力でくれよんを削る…)

このピンチ
(そ、そう言えばっ)
(何です?)

切り抜ける
(兄上が魔力を持て余しているとぼやいていたぞ!)
(では、グウェンにも役に立ってもらいましょう)

チャンスは1回
(あ、兄上なら執務室だっ!)
(あ、待ちなさいヴォルフラム!)


目障りな人物
(やぁヴォルフラム)
(お前、ギュンターを見かけなかったか?)

温厚な体質
(ユーリのこと?)
(何ッ?知っているのか!ユーリはどこだッ!?)

今だけ特別
(…お兄ちゃんって言ったら教えてあげるよ)
(な、何ッ?)

許せよプライド
(…くそッ、お兄、ちゃん)
(よくできましたvV)


なんて にくたらしい 兄の発言
(…でもユーリはまだ来てないよ?)
(何だとーッ?!)

飛び交う 沢山の真実を
(今日来るらしいけど詳しい場所はまだ解らない)
(こっ…のギュンター!)

堪えて 少しでも大人に
(…あれヴォルフ、怒鳴らないのか?)
(ぼくはそんなに短気じゃないッ!)


キメたいのに
(それに…ユーリにも言われたしなっ)

いつも 上手く行かない
(じゃあ会うのが楽しみだな)

でも願う 今日こそは
(そうだ、今日のいつ来るんだユーリは…)

狙いを定め
(ウルリーケからの連絡はまだだからな…)

作戦練って
(ギュンターにだけは先を越されるものかッ!)

笑顔1人占め
(…俺はアウトオブ眼中か…)


もう二度と
(ぼくは行くぞ!お前に構ってる暇は無いッ!)

今は戻らない
(あ、ヴォルフ…)

思い出す過去
(…昔はあんなに可愛かったのに)

あざ笑うような未来
(たーいちょっ、何してるんです?)

見つめたまま
(あぁヨザ…丁度今、美しき過去を振り返っていた所だ)
(…熱でもあるんスか?)


こんなにも
(ユーリはへなちょこだからな…何処に来るか見当もつかない…)

そばに 居ても遠く
(…ん?何だこの噴水、底が見えない…)

ねぇ 誰か
(う、うわぁっ!)

渋谷への招待を!
(わぁっ!溺れる溺れるっ!)
(ユ、ユーリッ!?)


キメたいのに
(…ってあれ?)
(ユーリ!)

いつも 上手く行かない
(うわっ!ヴォルフ?)
(全くお前はどーしてこういきなり出てくるんだ)

でも願う
(ゴメン…でも久しぶりだな)
(…あぁ)

今日こそは
(今回はぼくが一番乗りだな)
(…あ、そうだよなっ!)

狙いを定め
(ユーリ、嬉しいだろう?)
(そっ、そんなワケ…)

ライバル 蹴って
(…あるけど、さ)
(…やっぱりな)

笑顔の彼方へ
(…ヴォルフ…ただいま!)
(…おかえり)





****

「はい、お疲れサンマー!」

「うわっ!何故村田が此処にッ?!」

「びしょ濡れだね渋谷ー。スタツアご苦労サン…」

「はいストーップ、コンラッド並みのギャグは要りません!」

「俺並みの何ですか?」

「あ、コンラッド久しぶり!」

「やぁウェラー卿」

「陛下に猊下、お久しぶりです。…おや、猊下は濡れてませんね」

「そ、そーだよ何で?」

「あぁ、僕は別ルートがあるから」

「別ルート?!」

「まぁまぁ細かい事はまた後で。それより婚約者と会えて嬉しいだろ?」

「ん、まぁね」

「まぁねとは何だッ!もっと喜べっ!」

「や、やめろヴォルフっ!もー、久々に喋ったらこれだからなー…」

「短気じゃ無くなったんじゃないの?」

「な、何故それを知って…」

「キメたいのに上手く行かないねぇ」

「全くですね〜」

「う、うるさいジャリ!」

「あれヨザ、お前猊下と居たのか?」

「いや〜?そこでお会いしまして」

「へっへっへっ陛下ぁぁぁぁあああああ!!!」

「向こうから凄い形相で駆けてくるのは…」

「あー王佐来ちゃったよ」

「ホントだ…って村田?」

「僕は少し旅立つねー!汁まみれになると服買い取りだからさ!」

「へ?ってグリ江ちゃんも?」

「また後でお話しましょうね坊ちゃ〜んvV」

「お?おーい…って行っちゃったよ」

「おいユーリ、ぼくにも喋らせろ!」

「え?」

「兎に角ユーリ、長旅ご苦労サン…」

「ちょっと待て!」

「陛下ぁぁあああ!!」

「や、やめろ、来るなーッ!!!」




end.