マネージャーの悲劇@





そりゃまぁ、渋谷が後先考えないで行動したりするのも知ってるけどさ。
だからってカーテンも閉めないでコトに及ぼうだなんて気にしないにも程があるよね。

「渋谷」

「ん?」

渋谷の「ヤってもいいですか?」と言う誘いに断りきれず首に腕を回すと、既に上半身裸になって僕の頭上を陣取っている親友兼恋人は嬉しそうに笑った。
そして早速、…全くそのつもりはないんだけど着てきてしまった前開きシャツのボタンを、脱がせ易いとでも言う様にぷちぷちと外していく姿に呆れてしまったわけだ。

「ち、ちょっとストップ」

「え、何で?」

2番目まで外した所でその手を制止させる。
真顔で見つめると渋谷は意味が解らないと言いたげに首を傾げた。

「渋谷、今日はママさんが居るんじゃないの?」

一見ほんわかしてても元・ハマのジェニファーだ。此処、則ち渋谷の部屋でこんな事をしてたら気付かれない訳がない。

「大丈夫だよ、親父と買い物行くらしいし」

「あと、きみのおにーさんが」

「兄貴はあれ、飲みでオールして帰って来てないから」

なるほど。
通りで積極的な訳だ。

「…もしや狙ってた?」

「何が?」

この機会を、と言うつもりだったけど渋谷にそんな計算高いことが出来るとは思えない。

「それより村田、ちょっと体浮かして」

「へ?って何ボタン全部外してるのさ!」

気付いたらシャツのボタンは全て外されててご開帳、と言わんばかりにはだけさせられていた。
ちょ、ちょっと待てよ。

「だってもう心配事は無いだろ?」

「っ、」

笑いながらゆっくりとはだけた体に手を這わされ、不覚にも身体がびくりと震える。
するとそれに気付いたのか手を離し、僕の顔をじっと見てきた。
キスされるのかと思ったら、そのまま視線を剥き出しの上半身に移動させられる。

「…」

「な、何…?」

「いや、そう言えばちゃんと見た事なかったかなぁって思って」

その言葉に一気に身体が熱を帯びた気がした。
いつもは夜とか夜とか夜とかにしかヤらないから照明も暗めで解らなかったけど、雨が降ってるとはいえ朝の明るい時間にこうして見られるのは初めてで、それは誤魔化しがきかないから凄く恥ずかしい。
しかもそんな風にまじまじと見られると今すぐ逃げ出したい位になって。

「や、やだっ渋谷、カーテン閉めてっ」

咄磋に渋谷の腕を掴んでいた。…相当赤い顔で。

「へ?…あ、もしかして恥ずかしいとか?」

一瞬、呆気に取られた様な顔をしたかと思うと、その意味が解ったのが驚いた瞳になる。
渋谷、その台詞は羞恥プレイと受け取っていいのかい?

「…いいからっ、明るいのは嫌だっ」

気にしてしまう自分も恥ずかしいけど、それを言葉にするのはもっと恥ずかしい。
なのにどうしてそれを言わせるかな?渋谷は本当デリカシーが無いっていうか…。

「…うん、わかった。ごめんな?」

と思ったら今度は優しく微笑まれ、サラリと前髪を撫でられた。
その仕草に心臓が少し跳ねる。

「…うん」

……渋谷め、きみはそういう技を何処で覚えてくるんだい?

「じゃあベッドの方のカーテン閉めてくれる?おれこっち閉めるから」

す、と身体を離してドアに向かう渋谷に、僕も身体を起こして立ち上がる。勿論上着は羽織ったまま。

「…全く、こういう時は行動早いんだから」

ベッドの上にあがるとカーテンに手をかける。引きながら、これからする事の恥ずかしさに今更ながらドキドキしてきた。
まだあんまりエッチした事もなければ、痛みに慣れた訳でもないし。だから幾ら記憶で知識があるにしても毎回緊張でいっぱいになるんだ。
それでも渋谷がシたいって言うと、なかなか断れないのはやっぱり惚れた弱みってやつ。

「むーらたっ」

「わっ!」

そんな事考えてたら突然、後ろから飛びつかれた。その重みで慌てて四つん這いになる。

「もぅ、いきなり何すんのさっ」

そのまま後ろを振り返って見ると、無邪気に笑う渋谷がいた。

「ごめん」

絶対そう思ってないだろ。
なんて心の中でツッコミを入れた瞬間、するりと上着を脱がされて背中に手を這わされる。

「っ、」

「…村田の背中すべすべしてる」

そう小さく呟いたと思ったら、背中の真ん中に熱が近づく感覚がした。
柔らかくて湿ったものが触れたと解った時、思わず声が出ていた。

「んっ」

ちゅ、と肌に吸い付いてくる感覚に無意識に息が漏れた。
と同時にカアッと、顔が赤くなるのが解った。

「…村田」

腰の辺りに腕を回されて背中にゆっくりとキスが降ってくる。
どのキスも少し強めで、痕を付けられているのが解る。

「…っ」

「見えないトコだから、いいよな…?」

ちゅ、ちゅと渋谷の唇が降って来る度に確実に熱があがる。
四つん這いの格好は正直微妙なのに、どうしてか動かせない。

「…渋谷っ、しつこい」

「ん?」

恥ずかしくなって呟くと、背中から渋谷の顔が離れる。けど腰に回った手はそのまま。
どうするのかと思ったらぐっとその手に力を込められた。

「何?」

「そのままな」

そう言ったと思うと、ベルトが外されていくのに気づいた。
ちょっと、何だってこんな体制で…。

「渋谷、脱がしにくいだろ?」

「んー?別に」

カチャカチャと音を鳴らしながらベルトを緩める渋谷を横目で見ながらそのままの体勢を保つ。
大人しく待ってる、という状況はあまり好きではないんだけど。

「渋谷、この格好…」

「シンドい?」

「そうじゃないけど…」

「じゃあそのままで」

言い終わらない内にボタンが外され、ジッパーを下ろす音が聞こえた。
やけにそれは響いて、思わず耳が熱くなる。
と、同時にズボンと下着が急にずらされて。

「なっ」

それだけならまだしも、四つん這いになった脚を割ってくる渋谷の手。
ほぼ反射的に脚を開くと、内股に少し湿った指の感触を感じた。

「っ」

「ここ弱いんだっけ?」

「何言って…っ」

抗議してやろうと思ったのに声が掠れてしまった。
それは渋谷が付け根の方に指を伸ばしたから。

「まだ触って無いのに?」

不思議そうに笑う渋谷に益々耳が熱くなる。
わざと弱い内股を撫でてくるくせに、無邪気な振りをされるとまるで僕が感じやすいみたいに思えて歯がゆくなる。

「…っ」

きっと何を言っても上手く返せない。
無意識に唇を噛むとこの状態から逃げだそうと膝を前に出した。

「村田」

途端に腰にぎゅっと抱きつかれて。

「や」

「逃げないで」

「…あっ」

振り返る間も無く剥きだしのソレを掴まれる。
優しく包むように指が這ったかと思うと、やんわりと揉まれて力が抜けた。

「…っ」

「恥ずかしかった?…もう形が解るぜ」

「…」

カアッと頬が熱くなる。振り向きたいけど振り向けないまま下を向いて黙り込んだ。

「…なぁ、気持ちよくしていい?」

「…んっ」

そのまま握っていた手が少しずつ動き出す。
形を確かめる様に触りながら一定方向に擦られていって。渋谷の手の熱が伝わってくるのがどうしようもなく恥ずかしい。

「…ぁ…、んっ…」

時折先端を掠められると酷く腰が疼いて、勝手に声が漏れてしまう。
それが嫌で枕で口を塞ぐと、渋谷の片手が延びてきた。

「声抑えると苦しいだろ?」

「だって」

軽く振り向いて目を合わせると、渋谷の黒い瞳と視線がかち合う。

「沢山聞かせてよ、おれ村田のエッチな声聞きたい」

「…っ、嫌!」

にっこり微笑まれて、一瞬にして顔が熱くなる。
どうしてそう恥ずかしい事を言ってくるんだよ渋谷は!

「嫌なの?」

「…んぁっ」

不意打ちの様に先端をイジられてびくりと体が震えた。
同時に枕が取り上げられて更に擦られたのだからたまらない。

「ひぁっ…」

腕の力が抜け、がくん、と肘から崩れ落ちる様になる。
だけど渋谷は気にしない振りで手のスピードを早くする。

「はっ…しぶやぁ」

「ん?」

「やだっ…」

自分でも呆れる位弱々しく首を振る。
こういう風にされるのは初めてな上に恥ずかしすぎて泣きそうだ。もしかしてとは思ってたけど、渋谷って実は…

「こんなにしてるのに?」

「あっ」

…絶対アレだよね。自分では気付いて無いと思うけど。

「…何考えてるの?」

「え…ひゃあっ!」

一瞬気をそらしたのが不満だったのか、渋谷の指が乳首を摘んできた。
そして渋谷は知ってる、僕がここを弱いって事を。

「…触ってなかったのにこんなに堅い」

「ひ、あぁっ」

自分でもソコがピンとなっているのは解ってた。でもこういう風に言われるとまた恥ずかしい。

「コリコリする…村田のココ」

「っ…そんな事言わないでっ…」

「どうして?凄く可愛いのに」

「可愛いっ…わけないだろ…っん」

「…ほら、村田がそんな風にするからおれもこんなになった」

「っ!」

「お」

脚に押し付けられた渋谷の、ズボン越しでも判る昴りに一気に熱が増した。
それに気付いて、手の動きが早くなる。

「、あ…っ」

「あれ…いきなり太くなった?」

「し…しぶやのせいだっ」

楽し気な声が益々恥ずかしさを膨張させる。と同時に腰にくる痺れが顕著なものとなって。
やばい、もう…。

「村田、そろそろ?」

ぬめりを帯びたソコを一気に擦られる。でも達するにもベッドの上じゃ…。

「しっ…ぶや、布団汚れちゃう…っ」

切れそうな理性を繋ぎ止めながら呟く。しかし渋谷の手は止まらなかった。

「そんなん気にしなくていいから」

「あっ…ああっ…」

「ほら、我慢しないで」

「っあ…くぅっ!」

優しく囁かれて、乳首とソコを同時に刺激されたらもう限界だった。
願いむなしく、一際高い声を出してイってしまった。

「…っはぁ…っ」

肩で息を吐きながら更にへたりと倒れ込む。腰の支えが無くなったから膝もがくんと崩れ落ちた。
恥ずかしい。こんな格好で渋谷の顔も見れないまま…。

「…村田、溜ってた?」

「え?」

「ホラ、沢山出た」

「わっ?な、何……!」

突き出された手を見ると、その中に今出したモノがあった。
そんなもの見たくないのに目の前に突き出されて益々、羞恥に駆られる。

「自分でヤらなかったの?」

「…っ!は、早く拭いてよっ…!」

僕の好きな笑顔でそんな事を言うなんて卑怯だ。
溜ってた、なんて解ってるくせに聞いて来るトコなんて特に。

「拭かないよ」

「え?」

空いてる手がスッと伸びてくる。肩を掴まれて、優しい動作で仰向けに寝かされるとやっと一息吐けた。

「村田」

「ん…何?」

「…可愛い」

そうして顔が近付いてきたと思ったら頬にキスを落とされて。
眼鏡がそっと外された。

「…」

反則だ、そんなの。
今、心臓が飛び出しそうになったじゃないか。
そんな風に優しくされると体中が渋谷に溶かされてしまいそうになる。好きで好きで、それが渋谷も同じ気持ちだっていう事が嬉しくて仕方ない。

「顔赤いぞ」

そう笑う渋谷は確信犯。でももう、何をされても許してしまうと思う。

「…渋谷」

小さく呟くと、合図の様に片脚が持ち上げられる。
渋谷の脚の上に乗せられると後ろに粘りのあるモノが触れた。

「っ」

多分さっき出したやつだと思うけど…こうされるのはまた恥ずかしい。
馴染ませる為に撫でられた後、伺う様に入ってきた指に息が漏れた。

「は…っ」

「…久しぶりだからな」

「っ…ぁ…」

気持ち良いとは程遠い感覚に無意識に力が入ってしまう。ゆっくりと動く指先に、シーツをたぐり寄せる様にして握ると目を瞑って声を堪える。

「…ツラい?」

動きが止まって、代わりに優しい声が降ってくる。
目を開けると渋谷がじっとこっちを見ていた。

「ツラく…ないよ」

辛いと言うより気持ち悪いけど、渋谷に見つめられると何でもしてあげたくて。こんな痛み、愛だと思えばへっちゃらなんだ。

「…村田」

指がゆっくりと抜かれて、ぎし、とベッドが揺れる。渋谷の手が、顔がそっと近付いてきて。

「しぶ…」

呼び掛けは唇に塞がれてしまった。柔らかい弾力に目を瞑ると、表面を舐めてそれは離れる。

「…」

渋谷の瞳が熱っぽくなってる。それはさっきよりもより色気を増して。
格好良くてドキドキする。

「…あ、痛いよなこれじゃ」

もう一度近付こうとした渋谷が気付いた様に身を離す。そういえばズボンを穿いたままだ。

「ちょっと待ってて」

「うん」

渋谷が急いでズボンを脱ぎだす。
カチャカチャとベルトを外して脱いでいくその姿は、見ているだけで…

「どうかした?」

「な、何でもない」

慌てて首を横に振る。
見ているだけで熱が溜る…何て言えるわけ無い。

「?」

目を逸らしてシーツを見る。くしゃり、と握って赤くなった顔の熱を逃がそうとすると、髪にふわりと手が触れて。

「村田、こっち向いて」

甘えた声に胸が痺れる。
目を向けると見つめてくる真っ黒な瞳。
腕を伸ばして首にかけると、開いた口に舌が滑り込んできた。

「ん…」

決して巧いとは言えないけど、それでも確実に僕を溶かしてくる。渋谷とのキスは気持ち良くて仕方ない。

「…っ」

密着した肌に渋谷の昴りが押し付けられてる。これを今からナカに入れると考えただけで、腰が緩く痺れた。

「……むらた」

唇を離すと、愛しそうに名前を呼ばれてキスの雨が降ってきた。

「っ、ん、ちょっ…」

そんなのされた事無かったから僕は激しく動揺する。
それに気付いたのか、更にそのキスは強く降って。

「村田可愛い、可愛い…」

時折その中に混じる呟きにどうしようもなく胸が高鳴る。今日はサービスデーかって位に甘い囁きをくれる渋谷に、僕はキュン死にさせられるかもしれない。
胸が痛くて、嬉しくて。

「しぶや…」

初めての気持ちが駆け抜ける。
後ろがぎゅっと収縮して、じんわりと全身が熱を持つ。
戸惑いながらも、ほてった体は正直だった。

「村田?」

「…しぶやぁ」

渋谷が欲しい、と本気で思ってしまった。
渋谷の熱いのが欲しい、と。
告げる代わりにぎゅっと抱き締めて、震える唇で首筋に触れる。
すると渋谷の手が頭を撫でて。

「…何かもう、今のでイっちゃいそう」

あながち嘘でも無い様な口ぶりで頬を染めていた。
そのまま唇に触れるだけのキスを落とすと、体が離れる。

「…我慢してな?」

「んっ…」

脚を持ち上げられてまた指が入ってくる。無意識に漏れる息が熱を含むけど、もう気にしてられない。

「さっきよりよく解れる…」

渋谷の指が僕のナカに入ってる。それだって相当恥ずかしい事だけど、2本、3本と増やされてく指の数だけ想いが伝わってくる気がして。
苦しいながらも耐えていると突然、快感が走った。

「…ぁっん!!」

背中が勝手にびくん、と反れて反射的に声が漏れる。渋谷が微笑ったのが解った。

「ここ?」

「ひぁっ、ぁっ、んっ…」

3本の指でそこを擦られると爪先まで電流が走った様にビクビクする。
逃げ出したい程の感覚に涙が溢れてきて。

「可愛いよ」

「やぁっ、しぶやっ、ぁっ」

声が抑えられない。勝手に溢れていって止まらない。自身がナカから刺激される様な気持ちよさについていけない。
止めさせたいのに力の入らない手は空を切るだけ。
こんな、自分だけ喘いでる姿なんか見られたくないのに。

「もうちょっとな」

「やっ…、しぶや、しぶやぁ」

視界が滲んで、体が熱を持って溶けそうで。
早く満たして欲しくて僕は声を上げていた。
こんなこと今まで無かったのに。

「村田…」

「も、いいっ…」

「でも」

「しぶやが…いいっ…!」

胸の辺りが苦しくて、ナカが凄く疼いて。渋谷が欲しくて仕方ない。
これが欲情ってやつなのかな。

「…あーもうっ」

「んっ」

ぐちゅっという音と共に指が引き抜かれる。両脚がぐっと持ち上げられると腰が浮いて、渋谷の肩に担がれた。

「何か…直ぐイっちゃうかも」

苦笑した声と渋谷の熱いのがソコに触れる。先が濡れているのが解った。

「ん…いいよ、渋谷…」

これから来るであろう痛みに軽く身構えながら渋谷を見る。はっきりとは見えないけどそれでも、渋谷が興奮しているのが解った。

「村田…」

熱っぽい声と一緒に、先端が入ってくる。押し広げるみたいにゆっくりと、確実に。

「あっ…あ…」

痛みは少しある。でもそれよりも渋谷の熱いモノが僕のナカをいっぱいにして…。

「…あっ…」

「…うあ…っ!」

全部入ってきた、そう思った瞬間奥に熱いものが流れ込んでくる。
ビクビクと脈打ちながら注ぎ込まれるそれは、なかなか止まらなくて。

「ん…っ」

荒い息を吐きながら目を細める渋谷は色っぽい。
相当我慢してたに違いないな。

「渋谷…」

「…な、直ぐだったろ?」

恥ずかしそうに頬を染める渋谷が可愛い。奥に広がる熱が愛しい。
キスも巧くないし我慢もなかなか効かないけど、完璧じゃない渋谷が好きだ。
だからもっともっと、感じて欲しい。

「…好き」

「え?」

腕を伸ばすと渋谷が反射的に身を寄せてきて。ぎゅっと抱き締めると頬に手を当てる。

「……」

「むら…」

言葉を塞ぐ様にちゅ、と触れるだけのキスをする。
実のところ、僕からちゃんとキスするのは初めてで。
心臓はバクバクするし多分顔も相当赤くなってると思けど、上目使いで渋谷を見つめる。

「…すき」

どうしようもないくらいに。
渋谷が僕の一番近くに居てくれてる事が嬉しくて幸せで。
だから告げるのだって酷く恥ずかしいけれど。

「…」

渋谷の頬がかあっと染まって、ナカに入ってるのがドクンと動いた。

「しぶや…」

解りやすいよ、と苦笑すると頬を染めたままの渋谷の指が、頬に触れる。
照れ臭そうな笑顔。

「おれも好き…」

その言葉に今度はこっちがナカを締めてしまい、渋谷が苦笑する。
だって、そんな笑顔向けられたら誰だってキュンときちゃうよ。

「…動いていい?」

ナカにあるモノが形を取り戻しつつある。
小さく頷くとさっきのお返しみたいに唇が触れた。
膝がまた持ち上げられて今度はゆっくりと抜き差しされる。

「…んっ…ぁ…っ」

粘膜が引っ張られて、熱いのがナカを擦ってくる。
ぐちゅぐちゅと音が漏れるけど体は為すがままに揺れてしまう。

「村田のナカ…熱いなっ…」

「しぶ…や…もアツ…っん」

気持ち良いと聞かれればまだよく解らないのが本音なんだけど、衝撃を腰に受ける度に漏れる声は甘い熱を纏う。
渋谷とキスして触れ合ってこんなことして。繋がって揺さぶられてる今の状況がやたらと興奮するんだ。

「んっ…」

婚約者には男同士だからって言ってのに、僕に手を出してきたのはきみからだった。
そして一度触れ合ってしまえば止まらなくなって。
勿体無い程の愛をくれる渋谷に僕はいつも恥ずかしがってばかりだ。
普段の彼からは想像つかない甘い言葉もたまに見せる強引なプレイも、全部僕が知らなかった渋谷の一部で、それを垣間見る度に酷く満たされてはもっと知りたいと渇望してしまう。

「っ…ん…ぁっ…っん…」

僕の知らない渋谷を、僕だけしか知らない渋谷をもっと増やしたい。
全部欲しくて、全部感じたくてたまには無理もするけど。

「…むらたのも…っ」

「ぇっ…あっあっ…ひゃぁ…」

渋谷の汗ばんだ指が僕のを何度も擦り出す。後ろの刺激も相当なのに前まで弄られたら簡単に昇り詰めてしまう。

「むらたっ…かわいー…」

「はっ…ぁっみないでっ…んぅっ…」

「無理…っ、目ぇ離せない…っ」

渋谷の律動と肌がぶつかる音に意識がぼやけていく。
溶かされそうな感覚にびくびくと腰が震え出して何だかよくわからなくなってきた。

「しっ…ぶゃ…も…だめっ…っ」

「んっ…おれも…っ…」

言葉と同時に激しくなる律動にがくがくと体が揺れて。先端に渋谷の指が乱暴に触れた瞬間、びくりと体が反れた。

「んぁっ…―っ!!」

びゅ、と先端から吐き出される感覚に身震いする。視界がぎゅっと縮こまって身体中の気持ち良いって感覚が弾ける様に飛び出す。
止めようが無い衝動にびくびくと腰を震わせると渋谷のがナカでぐっと張り詰めたのが解った。

「く……っ!」

瞬間、ナカいっぱいに広がる熱いモノを感じて目を閉じた。びゅくびゅくと何度も収縮を繰り返してソレは奥の奥に流れていく。

「ん…ぅ…」

渋谷を悦ばせられた事が嬉しい。渋谷が僕を感じてくれた事が嬉しい。
だから無意識に涙が溢れるんだ。

「むらた…」

息を浅く吐く渋谷の手が頬に触れて。
覆い被さるのに合わせて首に腕をかけた。
好きだよ、渋谷。

「んっ……」

ちゅく、と音を立ててキスを交すと舌で目尻を舐められる。
くすぐったくて小さく笑うと至近距離で渋谷は微笑んだ。

「村田…好き」

近眼な僕にもはっきりと見えるその表情は、鼓動を早くするには十分過ぎる程で思わずぎゅっと抱きしめる。

「…渋谷」

「ん?」

ぐ、と抱きしめ返す渋谷の耳にかかる甘い声。
まだだるさが残る体には丁度良い響きで。

「来週は勝とうね」

緩く笑ってみせると渋谷がいつもみたいにはにかんだ。

「勿論!…な、村田」

「何?」

「勝ったらまたシような」

「こら」

無邪気に笑う渋谷に口調は怒りながらも笑ってしまう。
でも、渋谷を独り占め出来るならそんなにエッチも悪くないかな、なんて思う僕は相当だな。

「マネージャーも頑張ろうな」

そう、僕は渋谷の専属マネージャー兼恋人なんだから。

「うん、全力で応援させてもらうからね!」






公私共に一緒に居たいと思うのは当たり前だろう?







end.