今宵は狼に




−なんでこんな状況になっているのか、自分でも全然理解できない。


眞魔国。おれの部屋。ベッドの上。ヴォルフラム。





−熱い、カラダ。












何かおかしいと思った。風呂場に置いてあったピンクの石けん。すっごく甘い香りがして、泡立ちもよかったから使ってみたんだ。風呂場全体に花を散らしたような、気持ちのいい香りが広がっておれは幸せな気分になって風呂を出た。
で、先に風呂から出ていたヴォルフは既にベッドに転がっていて、早くもうとうとしかけていて。

「ユーリ…ぼくは先に寝るぞ…」

「はいはい」

そう答えてタオルでわしゃわしゃと頭を拭いて髪を乾かし、やれやれとベッドに横たわる。
さて、あとは眠気が訪れるのを待つだけ…と、風呂上がりの暖かい自分の体温に包まれていた。



−だが。






「……?」

暖かかったはずの体がやけに熱くて、掛け布団から足を出してみた。だが火照りは一行に収まらない。
おかしいな。風邪の予兆とかはなかったはず。
手も出して外気にさらしてみたりするんだけど、寧ろ熱はどんどん上昇していく。

「……っはぁ…」

何だか呼吸もおかしい。やばい、何かおれ急病にでもなったかな!?


−ズキン


「っう!?」

なんだなんだ?急に鋭い痛みが全身に流れる。なんだこりゃ。下半身が痛い……


え!??


ズキンと痛みを伴いながら形を変えていくのは…お、おれの息子じゃないですか!?

「!!????」

なぜなぜなににー?おれの息子はぐんぐん成長していこうとしているのですか!?

「っはぁ…はぁ…」

思わず体制変更。横向きになる。
てか…息が段々荒くなってきた。しかも、なんか熱が下半身に集中してきたし。そっと、指で触ってみると全身に痛みと気持ちよさの波が流れてくる。

「はあっ…」

と、慌てて口を噤む。隣にはヴォルフが寝てるんだった。こんな恥ずかしい場面絶対見せられねぇよ。

「とにかく…トイレ…」

そうだ、トイレに行かなくちゃ。体を動かすのもシンドい気がするけど、この熱を放出しない事には落ち着いて寝ることさえ出来ない。
ヴォルフを起こさないようにそーっと布団から出ようと足を動かした瞬間

「…あっ!」

内股が警報レベル3の息子に擦れて、体の奥から声が上がった。って今のはおれの声か!?なんか…初めて聞いたぞ?

「ん……?」

やばっ!!
フォンビーレフェルト卿が寝ぼけ声を出しながら起きあがる。辺りを見回し、おれを見下ろし、ジロっと睨まれる。

「ユーリ!何故ぼくに背を向けて寝るんだ!」

えー?ツッコミそこですか?ていうか別に背中向けててもいいじゃん!

「んなこと…どっちでもいーじゃ…ん…」

顔だけヴォルフに向けて返事をするけど、息が上がって上手く言えない。

「よくないっ、婚約者たるもの…ん?どうかしたのか?」

おれの様子がおかしいのに気づいたのかヴォルフはじっと見つめてくる。

−ドクン

まただ。また下半身が痛い。それになんだか…変な気持ちだ。

「なんでも…ない…」

「何でもないようには見えないぞ?具合でも悪いのか?」

ヴォルフがおれの肩に触れた。

「ひっ!」

瞬間、なんだかわからないけれど恐ろしく全身が疼いて情けなくも声を出してしまった。
なんかマズい。ていうか完璧怪しいよおれ。

「ユーリ!?どうしたんだ?」

ヴォルフは完全に目を覚ましておれの様子を伺う。だがおれがぴくりとも動かないので、掛け布団に手をかける。

「何か隠しているのか?」

「隠してない隠してないっ!本当何でもないからっ!」

「嘘をつけ。お前さっきから変だぞ?」

おれの願いむなしく、ヴォルフは布団をめくりあげた。

「っ……」





「ユーリ」

一点を集中視されて益々熱が高くなる気がする。



「…なんで勃起してるんだ?」

不思議そうな目で見ないでくれ。かえって恥ずかしい。

「わかんな…い…けど…ちょっと…トイレに…」


−ドクン

何だ…この感情?段々何か胸の奥が違う感情に支配されていく気がする。いつものおれじゃない、別の何かが猛スピードで消していこうとする。
なんてゆーか、理性ってやつを。

ちょっと待て!ヴォルフラムは、男だぞ?


「は?お前何を言ってるのかわからんぞ?」

ヴォルフが耳を近づけておれの言葉を聞き取ろうとする。
やめろ。近づくなー!眼の前に迫る天使の表情。ちらりと覗くうなじ。やばい、何だかわかんないけど何かがやばい。

「おい、ユーリ?」

柔らかそうな唇…!目が眩む。

ヴォルフは…男、のはずなんだけど?



「…っ!」

「!?」


バサッ。










−そして、現在。




「っ?」

「っはぁ…はぁ…」

何で…おれヴォルフの上に跨ってるんだ?

「な…ユーリ」

焦ってるのがよくわかる。自分の状況を理解できないのはおれもなんだけど…。

「なん…か…」

「なんか、何だ!?」

直ぐに冷静になったらしいプーはちょっと口を尖らせる。
…あぁ、その唇が欲しい。ヴォルフってすんげーカワイイ。本当は女の子なんじゃないの?
つーかもう、なんだか…制御が効かないッ!


「……!」


かばっと、金色の髪に指を通すと一気に口づけた。唇に触れた瞬間ぽーっとした気持ちになる。
もっと、もっと深くキスしたい。

「……っ」

角度を変えると加え込む。ベロチューなんてやり方全然知らないけど、とにかく舌入れてみたら意外にヴォルフのが熱くて。でもきっとおれの方が熱いんじゃないかな?

「……ぁ」

舌先から伝わる熱を逃がすように漏れる吐息。気にせずぐいぐいかき回す。


−ピ…チャッ


軽い水音が漏れる。無我夢中で気がつかなかったけど、随分長い間絡み合ってたとか?
はっ、と離すと名残惜しそうに銀糸が光る。

「ゆー…り、」

上気した瞳で見られて体の奥がきゅーっとなる。今まで見てきたヴォルフの中で今のが一番可愛い。

「ヴォル…なんか…制御きかない…」

ヴォルフに…ドキドキしちゃってる。ありえないくらい激しく。
そっか、これが欲情とかいうやつなんだ…。

「ユーリ…、っ!」

右手が勝手にヴォルフの腰に手を滑らせた。途端にヴォルフの表情が変わる。そのカオ、いいです。
思わず微笑みながらヴォルフの一瞬一瞬の表情を刻みつけていく。
唇スレスレまで顔を近づけてヴォルフと目を合わせる。いつもの勝ち気な瞳が少し緩んでる。何だろう、こうしてみると凄く可愛いんですけど。

「ヴォル……」

唇を加え込むと、肘で体を支えながら右手は服の中に手を滑らす。指で突起を摘むと、ヴォルフの舌の動きが止まったりする。あー、ドキドキする。こんな気持ち初めてだよ。…ってかおれの初めてがまさか男だなんて思いもしなかったけど。

「どうしたっ…いきなり…」

ヴォルフが手を突きだして体をどかそうとする。そんな事されても無理だって。

「どうしたって言われても…」

「今までこんな素振り見せなかったじゃないかっ!」

動揺した瞳で、それでもキッと睨まれる。おれの下で必死にもがいている。

「だから…わかんないけどヴォルフ見てるとさ…」

抵抗しようとする手に唇を寄せる。今はこれさえ愛しく感じる。

「なっ…!」

「触りたいって思っちゃうんだよ……」

ヴォルフの顔がかーっと赤くなっていく。目を逸らしたかと思うとおれが握っていない方の手の平で目を覆った。

「ヴォル…?」

「手ぇ…を…離せ」

その声がかすかに震えている気がして、下半身が疼く。照れるヴォルフが可愛い。

「嫌だ」

わざとそう言って、掴んだ手の甲に唇を付けていく。一本一本の指にも、綺麗な爪にもキスをしていくとヴォルフの口から熱い息が漏れる。おれは調子に乗って薬指に唇を付けると、それを加え込んでみた。

「……!」

ぴくっと反応するのがわかる。まさかヴォルフ、こういうのに弱いとか。だとするとかなり可愛いんだけど…!

「ゆーり…っ、くすぐったい…んっ…」

やっぱり。誤魔化しつつ声が漏れてるよ。そんなヴォルフも良い。益々熱が高まる。やべぇ、今すぐにでも出ちゃいそうだ…。

「ヴォルフ……おれ、ヤバいんだけど…」

ベッドの上だけど出してもいい?という意味で言ったんだけど、ヴォルフは腕をどけると少し困ったような瞳を向けてきた。

「それは…ぼくに奉仕しろと言ってるのか?」

ほ、奉仕!?

「いやっ、別にそーいう意味で言ったんじゃないけどっ」

慌てて否定するとヴォルフはむくりと起き上がり、上になっていたおれの体をどかす。

「……かせ」

「えっ…」

有無を言う暇もなく、ズボンに手をかけられずらされる。

「おいっ、ヴォルっ…」

「…お前だけにしかやらないんだからな、有り難く思え」

後ろ手をついて自身をさらけ出してるおれに向かって、ヴォルフは頬を染めながらそう呟いた。
ごくり、と喉が鳴る。

「…はい」

思わず敬語になりながら頷くと、自身が掴まれてヴォルフの舌が這った。

「ひゃっ」

先端を舐められて、そのまま口の中に含まれる。感じた事のない感覚に思わず声を出してしまう。

「うっ…っ…ぁ」

かなり良い…いや、たまんない。最高。ヤバい。そんな言葉しか浮かんでこない。吸われたりして刺激されるのもクるけど、何よりヴォルフの口におれのが入ってるっていう光景が…!!

「…っ…」

おれの先から出る液やらヴォルフの唾液やらで部屋にはやたら怪しい水音が漏れる。頬を赤く染めて口と手を動かすヴォルフの目とか表情とかが色っぽすぎる。
これ、色んな意味で奉仕って気分だよ…。

「…ヴォル…出る…っ!」

予告したのにヴォルフはそのまま口を抜こうとしない。え、ちょっと…出るって…!

「ちょ、…ーーっ!」

思いっきり先っちょを刺激されたから頭が一瞬白くなってそのままイっちゃったよ…っておれのアレはまさか。

「わーっ、ヴォルフっ」

ごくん。

「……っ、」

の、飲んだ?アレを飲みました?

「ヴォルフ…何お前こんな体に悪そーなものをっ!」

口の端に残ってるアレを手の甲で無理矢理拭うとヴォルフは少し驚いた顔でおれを見る。

「やへろっ、痛い」

「だってヴォルフが口離さないからっ…我慢出来なくて」

「ぼくは最初から飲む気でいたぞ?」

当たり前だろ、という風に言われるとこっちが恥ずかしい。熱がまた溜まりだす気がする。

「……っ、だって、お腹壊しちゃったりしたらどーすんだよ?」

「ユーリのなら平気だろう」

そんな自信満々に言わないでくれっっ…。恥ずかしくなってくる。

「ユーリは嫌か?」

「……嫌、何かあったら困るし」

「初めて飲んだけどそんなでもなかったぞ?」

「そーゆー事じゃなくて…何か…わかんねーけど凄く恥ずかしいんだよっ!」

「な…何故ユーリが照れるんだっ」

ヴォルフの頬が赤くなる。だって普段ならありえねーもん、こんな事してるのも、させてるのも。

「…ユーリ、お前また復活してきてるぞ?」

「う……」

言い合ってる間にも熱が下半身に集中し始めていく。だから凝視すんなよ…。

「ヴォル…見すぎ」

「だがこれからこれをぼくが受け入れるのだろう?」

目が点になる。

「は…」

「ユーリは上と下、どっちがいいんだ?」

「へ?」

「お前に選ばせてやる」

う、上か下かって?

「ぼくとしてはどちらでもいいんだがな」

「ううう上か下か?」

「ああ」

そう来られると気持ちが追いつかなくなってくる。現に下半身とはうらはらにどもってるし。

「え、えーと…」

迷っている間にもヴォルフはふわふわネグリジェを脱ごうとしてる。ああ、白い肌が眩しい。ダメだ。触りたくて仕方がない。体の奥がじんじんと疼く。

「ひゃっ」

ネグリジェを脱ぎ終わるかってトコでおれの何かがまた切れた。肩を掴んでベッドに押し倒す。まだ服は腕から抜けてないまま。

「急に倒すのは止めろっ!まだ脱いで…っ」

文句を言うヴォルフに構わず胸の突起に舌を伸ばした。途端、ヴォルフの躰が反応を見せる。面白い。

「…っ、…ぁ…」

つーか可愛い。もの凄く可愛い。おれが舌を動かす度に目を瞑って小さく声を漏らすとこなんて特に。

「ヴォルフ、凄く固くなってる」

両方の突起が固くなってて、それを指で弾いてみるとヴォルフの口から声が漏れた。

「…ぁ…っ…」

ヤバい、クる。その声。それに格好。まだ腕から抜けてない服がヴォルフの手の自由を奪ってて…脱ごうとする度に刺激を与えると手が止まって。何だかマズいよこれ。可愛いくて仕方ない。

「ユーリ…服っ…脱ぎたい…」

そんな目ぇしてそんな言葉言うなよ…!

「…ダメ」

脱がしたくなくなるじゃん。

「ヴォル…」

さっきから気になってた下半身に指を絡ませてみる。瞬間、ヴォルフの表情が歪む。何だよその顔。ドキドキする。

「…っ」

緩く立ち上がっていたソレを上下に擦っていくと段々と先端から液が滲んでくる。
それを更に絡めるようにして全体に馴染ませるとヴォルフの息が荒くなっていく。

「…っ、ぅ…」

「ヴォル…凄くやらしい顔になってる」

「見るなぁ…っ」

つい口に出して言うとヴォルフが怒ってきた。でも見るなと言われても目が離せない。
スパートをかけるように手を動かす。乱暴になってるかもしんないけど、ヴォルフは目を瞑りながら荒い息を吐いてる。

「もう、ヤバい?」

聞いてみるとヴォルフは頭を微かに縦に振った。その表情だけで自身が疼く気がする。

「出して…いいよ?」

先端に押し出す様に擦り上げると、ヴォルフが眉を寄せた。

「っ…あ、……!!」

「わっ」

びゅっ、と白濁したものが先端から溢れ出た。うっわ、びっくりした…。

「…、」

呼吸を整えながらヴォルフが絡まった服から腕を抜く。あぁ、折角いい格好だったのに。

「せ、せめて服を脱いでからにしろ!」

そう怒った様に言い放つけど、おれは思わず笑ってしまう。だって瞳が潤んでるよ。

「ゴメン、ヴォルフが可愛くて待てなかった」

それは本心だったんだけど。

「…〜〜っ!」

「わ、真っ赤」

みるみるうちにヴォルフが赤くなっていく。


「うううるさいっ!ユーリがそんな事言うからだっ!」

頬を染めながら怒られてもちっとも怖くない。それどころか愛しくなってくる…のは、何でだろう?

「…ヴォルフ」

ヴォルフの瞳をじっと見つめると、それに気づいたのか慌てたように目を瞬かせる。

「な、何だ」

息子がそろそろ、ヤバいんですけど。

「挿れたいんだけど…おれが上で、いい?」

そう言うと、ヴォルフは益々顔を赤くする。だってヴォルフ、女の子みたいだから抱きたくて仕方ないんだよ。

「…あぁ、わかった」

ぽす、とベッドに沈むヴォルフ。その萎えた自身に付いた液を指で絡め取ってみる。

「……っ、」

思わず声を出すヴォルフを可愛く思いながら指にべったりとついた液を後ろに塗っていく。必死に以前聞いた男同士の知識を思い出す。一応聞いておいて本当によかった。

「爪は切ってあるけど…痛かったら言えよ?」

「…ん……」

ゆっくりと指を入れていく。一本だけでこんなにもキツいんだから、ヴォルフには相当な負担かも…。

「なぁヴォル」

「止めるなっ…」

思考を見透かしたようにヴォルフが遮る。その瞳は嫌悪感に細まりながらもちゃんと輝いていて。

「…ん、わかった」

そう言いながら指を増やしていく。
二本、三本と入れていけば次第にヴォルフの表情にも変化が訪れてきた。

「っ……ふっ…」

おれの指が動く度に粘着質な音がそこから出てきて、静かな部屋に反響していく。これが風呂場だったらかなりヤバい事になりそう…。つーかおれももうヤバかったり。

「っ…ふ……っ」

「ヴォルフ…もう…限界なんだけど」

元から体が熱いのにその上こんな表情見せられたら我慢できない。すでに息子はかなりの勢いで反り返ってて、ジンジンと痛い。

「っ……きて…」

ヴォルフが甘い声でおれを呼ぶ。その普段とのギャップにくらくらする。

「い…入れるぞ?」

入れやすいように脚を持つとヴォルフが肘で上半身を支える。少しヒクつくそこに息子をあてがい、ゆっくり体重をかけていく。

「ぁ…くぅっ…ぅ…!」

「っぁ…」

ヴォルフが痛みに顔を歪めるのと同時におれも声があがる。
き、気持ち良いっていうかかなりこの締め付けはヤバい!!

「っ…いっ……!」

「うっ……あ!!!」

ズッ、とヴォルフの中に全部埋まった瞬間、おれは呆気なく果てた。

「……っ」

ヴォルフの中に出しながらぐったりと倒れ込む。

「ユーリ…耳がくすぐったい…っ」

「…っあ、あぁ、ゴメン」

思わずヴォルフの耳元で息を吐いてた。でも可愛いからそのままの体制でいてみる。

「ヴォルフ…」

「んっ…」

ピクン、と後ろに力が入る。ちょっとこれは…気持ち良い。

「ゴメン…もうイっちゃった」

「この…へなちょこ」

ヴォルフにそう言われるとなんだか嬉しくもあり。

「許して…?」

体を起こすと、少し立ち上がったままのヴォルフの自身を握った。

「っ!」

途端、後ろに力が入って萎えたおれのモノがまた反応を見せる。

「う…ユーリっ…お前また」

「ヴォルフが締め付けるからっ…」

おれのもいっぱいになっちゃうんじゃないか…。

「ユーリ…っ」

「動くよ?」

腰を掴むと腰を引く。そのまま押し出されちゃいそうなのを必死に堪えてまた一気に突く。

「あっ…ん!」

ヴォルフの高い矯正が部屋に鳴った。たまんねぇ。凄く気持ち良くて…声が漏れる。

「っ、…」

「や…っ…んぁ……」

エロい音と声が部屋に響いて凄い。いつもは勝ち気なプーがおれが動く度に声を上げてやらしい顔してて…。視覚的にもこれはかなり…!

「ユー…もぉ…」

「おれもっ…やばっ…わっ」

いきなり伸びてきた腕に前に倒れる。ヴォルフがおれの背に腕を回したから。

「あっ、あ…ユーリっ!」

そのまま背中にしがみつくように爪を立てられる。痛いけど…ヤバい!

「ヴォルフっ……!」

ヴォルフの自身から白濁が溢れておれの腹に生暖かいものが広がる。その締め付けは思ってたより凄くて、あっと言う間におれも果てた。

「……っ」

「ヴォル…っ、」

おれの背から腕がだるそうに落ちて、息の上がったヴォルフと目が合う。

「ん」

無性に可愛く思えて、顔を寄せて唇にキスをする。

「…ユーリ…」

惚けた口元からおれの名前が出てきたのが嬉しくて、思わず呟いた。


「好きだよ」


……ん?
おれ今、何て言った?


瞬間、後ろに力が入って締め付けられた。

「うっ?」

「ユーリ…」

ヴォルフが…真っ赤だ。つーかおれ今もしかして告白なんてモンをしてしまったとか?


「あの、ヴォルフ」

「ぼくも好きだ」


…。ヤバい。これはヤバいヤバいヤバいヤバい。


「…!?ユーリ…また」

「だってヴォルフが…」

ヴォルフがそんな事言うから復活しちゃったじゃないか!

「…まぁ、よい。ユーリの気の済むまでつき合ってやる」

そんな真っ赤な顔してそんなセリフ言われたら…。


「…お願いします…」


この熱、止みそうに無いんですけど…!












「あ…」

目が覚めると夜明け前らしく、まだ部屋の中は薄ぼんやりしている。横を見ると真っ裸のヴォルフが居て、思わず叫んだ。

「わっ!?」

「……んぅ…?」

ヴォルフも目が覚めたらしい。おれの姿を見て、瞬きをする。

「ユーリ…」

「ヴォルフ、眠い?」

そうだ。つい数時間前までヤってたんだ。つーか初Hだったんだっけ。

「いや…ユーリが起きたなら起きる…」

そう言いながらおれを見て目を擦る。…可愛い。

「ユーリ…お前何か薬でも使ったのか?」

「え?」

いきなり何の話?

「いくら何でもユーリがあんなに続くとは思わなかったから…」

「あんなにって…」

確かに凄かったよな。出しても出してもすぐ溜まってきて…。自分でも何かがおかしいって思った時もあったし…。あ、そういえば。

「そういや風呂に見慣れないピンクの石けんがあったけど…」

「それだ」

そこまで言うとヴォルフが舌打ちした。何?

「え?何?」

「…その石けんは媚薬入りだ」

「は!?」

び、媚薬!? 

「きっと母上のものだろう。昨日ふらりと立ち寄ったとか聞いていたが…まさか風呂にそんなものを置いて行ったとは」

「び、媚薬ってことは」

いきなり勃起したのもヴォルフに理性プッツンしちゃったのも妙に絶倫だったのも…全部。

「どうりでユーリが積極的だったはずだ」

「……ゴメン」

「…何故謝る」

「だって…おれ思いっきりヤったじゃん?ヴォルフの事も考えずに」

結局ヴォルフの負担もよく考えないで、やりたい放題やって…。初Hで浮かれてた部分もあったし。

「そんなのは別に構わない。媚薬のせいだろう?」

ヴォルフはそんな事は気にもならない、という口調だ。

「でもっ…」

「それより」

言葉を遮ると、ヴォルフはおれの目を見る。

「……あれは本心なのか?」

あ、あれって。

「……えと」

「あれがユーリの本心なら全部許してやる」

にっこりと笑うヴォルフ。その表情はさながら地上に舞い降りた天使で。
…もう薬は切れたはずなのに。


「…ほ…本心だよ」


ドキドキしちゃうんだから、きっとこれは本当の気持ちだ。

「そうか」

嬉しそうにヴォルフに微笑まれ、頬に熱が集まる。

「なら許してやる。…好きだぞ、ユーリ」

顔を近づけられて瞳をのぞき込まれれば。


「おれも…好きだよ」


素直な想いが口から溢れ、それがこぼれないように甘いキスで蓋をした。




end.