スネデレ








「もう1回!」

「また?もー渋谷ったら、これで3回目だよ?」

「だって難しいんだよこれ」

「そろそろ覚えようかーこのボス戦の攻略法。ここはまず、周りの敵を片付けないといけないからね」

「うん、それでこのパターンだと右回りに走ってって…ああっ!」

「あー、また失敗かぁ」

「なんで村田はクリア出来るんだよ?」

「そりゃあ…ココの違いってやつ?」

「うわ!むかつくなー高学歴は」

「伊達に私立通ってませんって。にしてもさー、これくらいのゲームならわざわざ僕を呼ばなくてもお兄さんに聞けば良いんじゃ無い?ゲーマーだろうし」

「…別に勝利に聞かなくてもいーじゃねーか」

「まぁね。渋谷が僕を頼ってくれてるのは嬉しいし」

「…そういう事、なんでサラッと言うかなー」

「当たり前の事をサラッと言って何が悪いのさ。僕までツンデレ化したら収拾つかないだろ?」

「ツンデレって…ヴォルフかよ」

「んーん、渋谷の事」

「は?おれがツンデレ?!何で?」

「なんでって…なんとなく。僕の前ではそんなカンジだよ」

「村田の前ではって…大体ツンデレってツンツンしてたのが徐々にデレってくんだろ?おれは村田にツンツンしてねーもん」

「渋谷…案外詳しいね」

「…何だよ、これは勝利の入れ知恵ってやつで…べ、別にそーゆーんじゃねーからな!」

「…ツンデレ」

「指差すなよ!」

「じゃあ…スネデレ?」

「は?」

「なーんか一緒に居ると渋谷は拗ねてる事が多いよね」

「…そうか?」

「それって僕の言葉とか、行動とかが足りないから?」

「…」

「…ごめんね、こういう事を言う自体いけないって解ってるつもり、なんだけど」

「…村田が謝るなよ、そーいう事で。おれは女じゃない」

「それは解ってるよ、でも」

「でももヘチマも無いっての。おれが勝手に拗ねてるだけなんだから」

「…何に拗ねてるの?」

「…色々。お前のすかした発言とか、仕草とか」

「やっぱ僕がいけないんじゃない」

「ちげーよ。お前がいけないんじゃなくて、そういう村田の発言に距離を感じちゃったり、差を感じちゃって焦るおれが悪いの」

「…」

「しかもおまけに拗ねるときたもんだ、おれってホント…ちいせぇ」

「…バカ言うなよ、すくすく育った男子高校生が小さいって」

「…村田、顔赤いぞ」

「……こっちの顔だけ、日焼けしたんだよ」





胸は風を切って 横顔に恋をした