ビスケット





甘い甘いビスケットを貴方の口に一枚
そしてぼくの口には貴方の甘い愛を。

分けて。



「ユーリ、お菓子をやろうか?」

「うん…焼菓子?」

「ビスケット、と言うのだろう?」

「お?まさかコンラッド経由?」

「そうだが…まぁ、食べてみろ」

「うん?…うん、美味しい、美味しいよ」

「そうか?」

「うん…何、その笑顔」

「いや…別に?」

「あ、まさかこれ、ヴォルフが作ったとか?」

「…当たり、だ」

「うっそ!すげえなヴォルフ、お菓子も作れたんだ!」

「そうか?」

「うん!ヴォルフはいいお嫁さんになれるな!」

「…お嫁さん?」

「え?」

「お嫁さんはユーリだろう?」

「おれがっ?」

「そうだ、夜もユーリが女役」

「わーっ!わーっ!わーっ!言うなそれはここでッ!!」

「…ギュンターなら汁だらけで失神してるぞ」

「……あー、聞かれたかぁ〜」

「それより、ユーリがお嫁さんだからな?」

「えー!嫌だよおれ、ウエディングドレスなんて着ねーぞ?」

「ぼくだって嫌だ」

「でもヴォルフが料理上手ならお嫁さんだろ?おれ料理上手のお嫁さんが欲しかったから良かったよ」

「最近の夫婦は夫が料理上手という形態もあるんだぞ?それにぼくは」

ぐいっ。

「う?!」

「…こんな可愛いお嫁さんを貰えて嬉しいぞ?」

「…可愛いって鏡見てから言えよ」

「ユーリの方が可愛い」

「格好良いにして」

「へなちょこ?」

「おいっ、違うだ…っ」

「……」

「ん…っ、んぅ……」

「…っ」

「ふっ…ぅ…っは!」

「…甘いな」

「なっ、何っ…いきなり」

「ギュンターなら倒れたままだから平気だろう」

「…そっ、ゆーんじゃなくてさ」

「あぁ、腰が砕けたか?」

「う、うるさい!」

「そんな所も可愛いな。…さて、ベッドに行くか?」

「…連れてってくれるならな」

「仰せのままに、ぼくの可愛いお嫁さん」

「おいっ、お姫様抱っこはするなーっ!」





「…あのビスケット、俺が作ったんだけどな」

「コンラート、何をぼやいてる」

「グウェン、俺っていいお嫁さんになれるかな…」

「は?」





2005/8/21より。
嘘も方便という言葉を覚えたプー。