真夜中の静かな告白





迫るが闇
ベッドに沈む影は
折り重なる一枚の絵

「……ぅ」

「どうしました?」

「ヨザ…」

「何、泣いて……」

「もし、もしもだよ」

「…何ですか?」

「ヨザックが、僕より先に死んじゃったらどうする?」

「…オレが?勝手に殺さないでくださいよ」

「……」

「…ぁー、オレが、死んじゃったら?…そうですね」

「僕を待つ?」

「いいや、そんな事はしませんよ」

「…じゃあ」

「猊下も連れていきます」

「…連れて」

「えぇ、グリ江の可愛い洋服達と一緒に」

「…ふふっ」

「嘘ですよ」

「嘘言うなよ」

「だって猊下が」

泣いてるから。

「…連れていけよ」

「…いいんですか?」

「連れていけ…っ…」

「猊下?」

「……っう…」

「猊下、猊下」

「ヨザ…ック」

「…はい」

「…嫌だ、ヨザックが居なくなるなんて」

「…居なくなりませんよ?」

「でも、そんなのわかんない」

いついなくなるとか
そんなの知らない
普通は考えもしない
考えたら終わりだ

「…オレだって、猊下がいなくなったらどうしようか」

「僕は勝手に、いなくなったりしないよ」

「それこそわからないじゃないですか」

「…っう…」

「猊下、どうしたんですか?」

「…ヨザック、僕は渋谷が好きだったよ」

「…陛下が?」

「大好きで、仕方なくて、渋谷の言う事なら何だって叶えてあげたくて」

「…えぇ」

「大好きで大好きで。でもヨザックが好きだって気持ちとは別だった」

「…」

「だから僕は、渋谷が本当に望んでる事は解らなかったんだ…」

「……」

「渋谷があんなにも彼の腕を欲しがって、あんなにも彼を取り戻したくて…だから僕はてっきり」

「…陛下が欲しいのはコンラッドなのかと、オレも思ってましたが…」

「違うんだ」

そうじゃ、無かったんだよ。

「それなら何を…」

「…多分、愛だ」

「愛?」

「至上の愛…」

「どういう意味…」

「…っヨザ」

「…猊下?」

「どうして…?どうしてこんな事に」

「何故泣いてるんです?猊下、聞かせて」

「っく、渋谷の…渋谷のっ…」

「陛下がどうしたんです?」



「−気配が…………」



消えた。










至上の愛の名の元に。












「………猊下」

「…な、に?」

「オレも…泣いていいですか?」

「………うん…」







end.